弦楽器

⑤ジャンクベース 下地作り完成 〜ここまでのまとめ〜




 

さて、久しぶりにベースのリフィニッシュネタ。
でも長くなってるのでここで一旦まとめ
<きっかけ>
ギター/ベースのスーパーナチュラルフィニッシュ(=塗装が塗ってない木のままに見えるやつ)って世にありません。
塗装を剥いでそのまま使ってる方はいなくもないですが汚れに困っている様子。
で、ゼネコンで使っている木材用途向け塗料(=一般非売品)があるんですが、
それはとっても防汚性が高く、水や薬品にも耐えて、また木の変形に追従します。
それで作ってみたらどうなんだろう?・・がきっかけ
<素材>
これが悩ましかったんですよね。
キットから作ろうか?・・とも思ったんですが、好みにあるようにするにもお金がかかる。
なるべく少ないコストでいくとすればジャンク品の再生がいいか?・・てことで選定。
これも拘ったらキリがないのでバスウッド でええわ・・と。
でもちゃんとした楽器になってもらわないといけないので、
いい時代の日本製をターゲットに選定。
その結果・・
202001111.jpg
1992年製造のヤマハRBX700RSのジャンク品を手に入れるわけで。
メイドインジャパンなベースです。
1800円送料別。
今まで色々触って思ったのは1978年〜95年くらいまでの国産品メジャーメーカーは
木材の加工がまとも。
87年までのは特に加工が良い印象。
あ、加工といっても形状加工とかでないですよ。
木の乾燥と接着などの加工のほうです。
よく聞く中古楽器の不良って指板が剥がれて浮いたり波打ってたり、
ハイ起きしてたり・・ですかね?
このあたりって木の乾燥がちゃんとできてなかったり接着で工程自体が短かったり
接着剤の性能不足や塗布量不足で起きたりするわけで。
そういうのが少ないんですよ。
時代背景がモロにあるんですけど、世界の工場の日本(※当時他のアジアではそれだけの生産能力がななかった時代)、プラザ合意前の強烈な円安、輸出でガンガン儲ける、高度成長期・・て時代ですからね。
モノには金がかかってますよ。
でもってオートメーションもそこそこな時代。
そんなバブル以前のモノは職人根性が見えたりするような気がします。
なんにしても当時の長野生産品は木材の加工(削るとかでなく乾燥など)が優れてますよね。
で、今回のはある意味ちょっとギリギリ感があったんですが、まだ大丈夫でした。
ちなみに私、そっちの木材加工のほうも仕事で色々と関わってたもんで、いい勉強させてもらいました。
<ジャンクベースのチェック>
2020011118.jpg
電装系は配線こそあれど断線や誤配線だらけ(笑
ジャックは酸化が激しいので交換ですが、ポッドやピックアップ、プリアンプなどは問題なし。
配線はやり直しますが、ジャック以外はそのまま使えるのでラッキーでした。
あ、普通な判断じゃないと思ってください(笑
ボディは傷・打痕だらけ。
20200111112.jpg20200111114.jpg
まぁ、これはどうせ塗装剥がすしどうにでも。
エグレも加工で消し去ります。
20200111113.jpg
ネックは指板こそ汚れてますが、フレットは問題なし。
なので指板研磨とフレット磨きで問題なし。
トラスロッドも効きますし、指板の接着にも異常なし。
そんな感じで全然問題なく。※変態だと思ってください。
<作業工程>
①分解。
202001151.jpg
色々チェックしつつ分解。
ネジ
/ネジ穴の潰れも全くなく。
②塗装剥離(ボディ)
まず道具ですけどね
202001261.jpg
手間短縮のために電動工具使ってます。
ボディで活躍したのはサンダー。
これに#320のパッドをつけて塗装を磨きとりました。
色々試した結果の#320です。
で、どんどん剥いでいきます。
2020011714.jpg
見ての通り塗装はトップ・青・紫・シーラーとなってます。
2020011715.jpg
こんな感じですがシーラーは木材に染み込んでると思ってください。
それで目止めをしているってことです。
今回は木材の雰囲気を回復させないといけないので、シーラー層まで削り落とします。
塗装を落としたあとは研磨シートで#400まで磨き上げます。
ちなみに手作業では研磨ブロック#60 #120 #240でザクザク削ってました。
#400以上の細目でやると光沢が出てきます。
今回はマット塗装なので#400で終わり。
③塗装はがし(ネック)
2020011812.jpg
ロゴとシリアルは残すのでマスキング。これは位置確認のため。
で、
2020011815.jpg
ジョイント部裏をサンダーで落とすとこんな感じ。
この白いのが木の色ですね。
側面の色が薄いのは塗装の変色前。
濃いのは塗装が変色したところ。
木材が焼けたのでなく塗装の変色が主な理由って感じです。
ネックはボディと材が違うのでどうかな?・・と思ってたんですが、結局取るべき手順手間は同じ。
でも形の都合、研磨パッドでザクザク落としてペーパーや研磨パッドで磨きました。
こっちも#400まで。
指板側面部分の塗装も落としました。
ついでにフレット側面も研磨剤があたってたのでツルツルになりましたw
2020011816.jpg
ちなみに型番などはこんな感じで残しました。
周りがちょっと凸凹になりますが、塗料でなるべく埋めます。
④研磨後の拭き取り
研磨後はメリヤスウエスなどで、きっちり研磨でてた木粉を拭き取ります。
で仕上がりを確認。
202001262.jpg
で、こんな感じになりました。
2020012623.jpg2020012624.jpg
いい感じの木の雰囲気が出てますね。
ここで再度考え方を。
塗装を剥がす=剥がして木を削って磨くということです。
2020012625.jpg
ちなみに傷や打痕やエグレはシーラー研磨の過程で平面はほぼ消失。
深いのはちょっと残りましたけどその凹みは塗料で埋めます。
角のそれらは研磨で削り取ります。
上の画像の角を見てもらうとわかるかと。
ぬるぬるに角を落としてます。
ここに傷などもありました。
20200111114.jpg
こんな感じに。
撮影角度が違いますが、同じ箇所です。
こうやって手作業で角をとっていくと機械ではできない表情がでてきます。
よくハンドメイドの家具ってありますやんか?
あんな感じのRに仕上がりますよ。
202001267.jpg
ちなみにネックポケット部分の塗装も落としました。
その途中の状態がこれ。
見てわかりますが、両サイドの塗料は取れてますが、その間の木は削れてないんですよ。
つまり、それだけ塗料の厚みがあるということで、ここにネックが乗っても両サイドの塗料に乗るってことで、真ん中はフローティング状態ってことです。
多くのギターやベースはこんな状況。
何故ならば、塗装工程の都合でそうなるから。
で、これがすごく重要かというと・・あんまり変わらんよーな気が。
エレキってのはピックアップで信号をとってますよね。
その弦をピッキングした後のネックのしなり具合などは変わる可能性はありますが、
振動の伝わりがボディに伝わったところで(ry
それよりネックの状態(反り)やナット、ブリッジ、ピックアップの距離や、
塗装による変形の変化のほうが影響大きいと思います。
それらは個体差が必然的に出るのでギターやベースの完成品は個体差が出るってことなんでしょうね。
個人的にはこれらの影響よりポッドの交換のほうが影響は大きいと思ってます。
ダメになった250Ωから500ΩのCTSに変えた時にゃ「なんじゃこりゃぁぁ!」でしたから。
まぁ、すべて一期一会ですよね。
ちなみに塗装を剥いでシーラーを研磨したこの状態はネックポケッ
ト部分ではガバガバになります。
ネック側の塗装をはいだだけでも数ミクロン痩せますから。
感覚的には30~50ミクロンmほど厚みがあるので、合計80~100μmほどやせるかと。
まぁ、新たに塗装のせますので、その差は減りますけどね。
⑤塗装について
今回の塗装は刷毛塗りです。
この時は先のネックポケット部分も塗ります。
ネック側も塗るんですが、両方塗ると合体させてボルトを締めたときに圧縮され、
隙間がいい塩梅でなくなるので。
変形するってことですね。
程度はしれてますが。
塗料は水系の2液タイプのもの。
硬化剤が別ってやつです。
モノはホルムアルデヒド放散等級 F☆☆☆☆ なやつ。
つまり、室内で塗っても大丈夫!・・なグレードです。
まぁ、臭いはありますから換気したほうが気分的にはいいですが。
これを下塗りで1回。
乾燥後に#400の研磨パッドで磨いで毛羽立った部分を落とします。
そして仕上げでもう1回。
100g/平方メートルくらい塗ります。
この塗料はリコートできるので、神経つかわないです。
でもって今回はツヤ消しなので刷毛目も相当ざつくしない限り目立たないと思われ。
木材の色変化もほぼない塗料で質感もほぼそのまま。
なので木材の質感がめっちゃ生きます。
で、水も弾いて汚れも落ちやすいわけで。
カビキラーとかつけても変化しませんよ。
木材の焼けは出ますけど、それがいい塩梅になると予想。
それを建材でなくギターでやろうという実証実験ですw
もしうまくいったら販売でもしようかな?
⑥今後の予定
2020012626.jpg
とりあえず塗装を終わらします。
こんな感じで三脚に吊って塗って乾燥(笑
で、その後組み立て。
ジャックは交換。配線は引き直し。その他はそのまま使います。
ブリッジなどGOTOなのでそのまま利用。
超音波洗浄機でクリーニング、サビは556&ブラシで落としますよ。
ネジなどの頭のサビは落としたままにしてレリック仕様に。
ピックアップ下のスポンジやポケットのシールド加工はもちろんします。
アースの見直しも。
で、ダダリオの弦をつけてセットアップしますよん。
OPとしてエンドスロープとフィンガーランプ をつけようかと。
木場にある「もくもく」に材は買いに行きますよ。
これは仕上がったイメージに会う木材を選ぼうかと。
たぶん、渋い色にすると思います。
ということで、今までのまとめと今後の予定でした。
今日はここまで〜

  


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